
現在、多くの人が仕事や勉強で使用している「消せるボールペン」。
消すことができるボールペンなんて、昔では考えられなかったものだけに、現代の科学の進歩を感じさせてくれますよね。
しかし、なぜ文字を擦るだけでキレイに消えるのか、その仕組みについて気になりませんか?
また、便利な製品だけに悪用することを考える人も多そうです。
今まで消せるボールペンを使用した悪事などはなかったのでしょうか?
今回、消せるボールペンの仕組みと、過去に問題となった悪用の手口についてまとめてみました。
消えるボールペンの仕組みについて
消せるボールペンには、上部やキャップに必ずラバー部分が付いていると思います。
ボールペンの字がキレイに消えるのは、このラバー部分と使用しているインクに秘密があります。
さっそく、書いた文字が消える仕組みについて解説します。
まず、消せるボールペンで使用されているインクは、通常のボールペンに使用されるものとは違います。
消せるボールペンのインクの中には、特殊なマイクロカプセルに含まれた3種類の成分が含まれています。
その成分とは、「発色剤」「発色させる成分」「変色温度調整剤」といった3つの成分です。
これらが結合することで文字として見えるのです。
この特殊成分を含んだインクで書いた文字は、熱によって消すことが可能です。
消せるボールペンに付いているラバー部分で、書いた文字を擦ると摩擦熱が発生します。
その熱により、インクに含まれる特殊成分の結合が解離され色が透明になるのです。
通常、消せるボールペンはラバー部分で文字を擦った時の摩擦熱が60℃以上になると文字が消えます。
ラバー部分は消しゴムとは違い磨耗しにくいため、何度も繰り返し使用できるのも消せるボールペンが人気の理由のひとつといえるでしょう。
消せるボールペンの許せない悪用事例
消えるボールペンには、「証書類や宛名書きには使用しないでください」という注意書きがあるように、消えたら困るもの、書き直せると困るものもありますよね。
最近では、試験会場などで「消えるボールペンは使用しないでください」といった注意を呼びかけるところもあるほどです。
身近なところでは、履歴書なんかは書き直せると楽だなと思いますが、これは「経歴詐称」の疑惑にも繋がりかねないため注意が必要です。
そんな消えるボールペンですが、その利点を悪用した事例もありますので紹介したいと思います。
書類改ざんによる請求金額の不正水増し
請求金額を書き直し、不正に多く手に入れるという手口。
また、勤務表改ざんにより給料の不正受給などの手口に使用されたことも。
報告書などの文書を勝手に書き直し改ざん
重要書類などにあえて消せるボールペンを使用させ、後ほど自分で都合の良いように書き直すといった手口。
主な悪用事例は以上のようです。
これらは、「有印私文書偽造罪」や「詐欺罪」が成立する可能性もあるため、絶対にしてはいけません。
そのため、消えるボールペンは公的文書での使用が禁止されていたり、試験でも使用不可となっているのです。
また、消えるボールペンは高温に弱いため予期せぬトラブルを招くことがあります。
例えば、夏場温度が高くなる窓際や、車内などに消せるボールペンで書いた書類を置いておくと、文字が全部消えてしまったなんてことも実際に起きています。
ちなみに、高温の場所に置いておいたことが原因で文字が消えてしまった場合は、
- 文字が消えた部分にコールドスプレーをかける
- 文字が消えてしまった書類やノートを冷凍庫に入れて冷やす
といった方法を行うことで、消えた文字は復活しますので予期せぬトラブルが起きた時は試してください。
とても便利な消せるボールペンですが、デメリットも存在するということを忘れないでくださいね。