
「天気雨」とは、空が晴れていて日が照っているのに雨が降っている状態のことをいいます。
皆さんも、一度はこの不思議な光景を目にしたことがあるのではないでしょうか。
天気雨は、「狐の嫁入り」と言われることもありますが、なぜそのような別名ができたのか、意味や由来が気になります。
今回、天気雨の別名が「狐の嫁入り」と言われることについてまとめました。
天気雨の原因は?
まず、摩訶不思議な現象である「天気雨」ですが、どのようにしておこるのでしょう。
現在、その原因は次の3つと考えられています。
- 雨雲が遠いところにあり、その雲から降った雨が上空の強い風に流され、晴れているところで落ちてくる。
- 雨が地上に到達するまでには時間がかかるが、雨を降らせた後、その雨が地上に到達する前に雲が消えてしまった。
- 雨を降らせた雲が小さく、日が雲の隙間から照っている状態。
上空に雲は見当たらないものの、いずれにしても雨雲が発生していることは間違いないといえそうです。
「狐の嫁入り」とは?
そもそも「狐の嫁入り」とは何なのでしょうか。
実は「狐の嫁入り」は、怪奇現象と関係があります。
昔は、夜に提灯行列があると、それはほとんどが他の土地から来る嫁入りの行列だったという話があります。
嫁入りの予定がある時、近所では事前にそのことを知っていました。
しかし、予定がないのに行列のような火が灯ると、「あれは狐が人を化かすためにやっている」といわれました。
この時の予定にない行列の火というのは、俗にいう火の玉のことです。
現代では火の玉の正体は科学的にも解明されつつあり、それは墓場などでメタンガスが発生し自然発火したというものや、プラズマ説が有力になっています。
もちろん、昔は科学で解明などできるはずもなく、火の玉は怪奇現象だと不気味がられました。
「狐の嫁入り」とは「嫁入りを連想させる火の玉の行列」を指すのです。
そして、不気味なことの代名詞として、怪奇現象全般を「狐の嫁入り」というようになりました。
天気雨の別名が「狐の嫁入り」となった意味や由来
さて、天気雨と「狐の嫁入り」の関連ですが、様々な説があります。
全く無関係にも思えるこの2つの現象ですが、天気雨も不思議な光景で、原因が分からなかった時代には怪奇現象と捉えられていたのでしょう。
天気雨を別名「狐の嫁入り」と呼ぶようになった由来のひとつに、怪奇現象という考えが共通していたことが考えられます。
また、狐が婚礼を人間に見られないようにするため、天気の日に雨を降らせているという意味もあるようです。
他には、干ばつの被害で苦しんでいる時に、雨乞いのため狐を騙して人間の嫁にして殺したという狐の生贄の話。
人間の婿に本当に恋をしてしまった狐は、騙されていると知りつつも人間の娘の姿に化け、村人たちに殺されてしまいます。
すると晴れているのに大粒の雨が降り出したことから、これは狐の涙で、天気雨=「狐の嫁入り」となったという悲しい言い伝えもあります。
天気雨と「狐の嫁入り」については諸説ありますが、天気雨が降ると動物の嫁入りがあるといわれているのは日本だけではありません。
面白いことにイギリス、イタリアでも「狐の嫁入り」という言葉は存在しているようです。
また、お隣の韓国では「虎の嫁入り」と言われています。
いずれにしても、天気雨は不可思議な現象として捉えられてきたようです。
実際に狐が人を化かすかどうかは分かりませんが、昔から人と動物は深く関りあいながら生活をしてきたことの表れだと考えると微笑ましく感じてしまいます。
次に天気雨があった時は、「狐の嫁入り」のシーンを思い描いてしまいそうですね。