
暑さが和らぎ秋の気配が色濃くなった頃、秋の七草がいつもの景色に彩を添えてくれます。
しかし春の七草なら分かる人も多いと思いますが、秋の七草が分かる人はあまりいないように感じます。
実は、秋の七草の名前には簡単な覚え方があるので紹介したいと思います。
また、なぜ“秋の七草”と呼ばれるようになったのか、その由来についても気になりますよね。
今回、秋の七草についてまとめました。
目次
秋の七草一覧
まず秋の七草をすべて、簡単に紹介したいと思います。
萩(はぎ)
- 開花時期 : 6月~10月末・早ければ夏頃に花が咲くことも
- 分類 : マメ科
萩と一言言っても木萩(きはぎ)・蒔絵萩(まきえはぎ)と色々ありますが、よく見るのが山萩(やまはぎ)です。
花の形はとても面白くぷっくりと可愛いらしくなっていますが、見た目とは違い荒地に咲く花としても知られているので頼もしい花となっています。
薄(すすき)
- 開花時期 : 8月中旬~9月下旬頃
- 分類 : イネ科
月見の際に月見団子とセットで欠かせないススキも、秋の七草のひとつになります。
他にも尾花(おばな)とも呼ばれており、穂の部分が尻尾に似ていることに由来しています。
桔梗(ききょう)
- 開花時期 : 6月~8月初旬頃
- 分類 : キキョウ科
見た目にも繊細でかつ美しい花をしており、花言葉である「清楚・気品」をそのまま形となったように思えます。
根の部分は、咳や喉の痛みを和らげる漢方としても使われています。
撫子(なでしこ)
- 開花時期 : 6月~8月
- 分類 : ナデシコ科
元は我が子を撫でるように可愛い花をしていることから、名付けられました。
そして今はサッカー女子日本代表の愛称としても知られており、可愛いながらも大胆な姿を見せてくれています。
葛(くず)
- 開花時期 : 8月中旬~9月末頃
- 分類 : クズ科
生命力が非常に強い花としても知られ、ひと夏で10メートルも成長することがあります。
根は「葛根」という漢方としても使われており、人々の健康をも守ってくれています。
しかし、平安時代では別名・裏見草と呼ばれたことから、恨みに関する和歌を詠む祭に引き合いに出されていたそうですよ。
藤袴(ふじばかま)
- 開花時期 : 10月~11月下旬頃
- 分類 : キク科
藤色の花をしており、花びらが袴と似ていることから「藤袴」と名付けられました。
平安時代にはシャンプーや芳香剤としても使われていたそうで、今で言うところの“コスメグッズ”として重宝されていました。
女郎花(おみなえし)
- 開花時期 : 7月初旬~10月初旬頃
- 分類 : オミナエシ科
漢字で「女郎花」と書きますが、由来は“美女をも凌駕するほどの美しさ”というところからです。
黄色い花が特徴的でとても美しく、秋の野を鮮やかに彩ってくれています。
ちなみに、男郎花(おとこえし)という花もあります。
花は白く小さい形をしていますが全体的にどっしりとしており、文字通り「男らしい花」となっています。
秋の七草の由来とは?
秋の七草は、約1200年前に編成された和歌集・万葉集に載っている山上憶良(やまのうえのおくら)の和歌からきているとされています。
和歌が詠まれてからは「秋の七草」として親しまれるようになり、今日に至るというわけです。
秋の七草にまつわる和歌・万葉集には、現代語訳で、
秋の野原で咲いている花々を、指を折ってひとつひとつ数えてみると、
萩・尾花・葛花・撫子・女郎花・藤袴・朝貌
の七種類であった。
という一文があります。
朝貌は朝顔やムクゲではないかという説もありますが、桔梗が最も有力な説だと言われています。
秋の七草の覚え方
覚え方は色々ありますが、覚えやすい方法と言えば語呂合わせでしょう。
女郎花・尾花・桔梗・撫子・藤袴・萩・葛の頭文字をとって「お好きな服は?」や、文字を入れ替えて「ハスキーなお袋」と覚える方法がネットなどでは推奨されています。
また、元が短歌から来ているので「五・七・五・七・七」の短歌にして覚える手もあります。
「ハギキキョウ・クズフジバカマ・オミナエシ・オバナナデシコ・秋の七草」とリズミカルに口ずさめば、ばっちり覚えられるはずです。
まとめ
「秋の」七草と言われているものの、ほとんどは夏に咲く花です。
ただ8月の立秋を迎えれば秋になるので、強ち秋の花だとも言えなくはありませんよね。
秋の七草は原っぱなどへ行けばどこでも見ることができましたが、今はほとんど姿を見ることができなくなってしまいました。
どれをとっても綺麗な花をしているので、なんだか寂しい気がしますね。